借入先を一カ所にすれば、おまとめローンだと勘違いしていませんか?
まとめるだけでもメリットはあるが…
返済計画再編のためのローンというのは「借り入れを1ヶ所にまとめるだけ」というイメージを持っている方が多いでしょう。確かにそのようにまとめるだけでもメリットはあるのですが、返済計画再編のためのローンの一番の目的である「低金利にすること」というのは、返済計画の再編をしても必ずしも実現するとは限りません。ここでは、そのようなケースについて書いていきます。
返済計画を再編しても低金利にならないケース
返済計画の再編をしても金利が下がらないケースとはどのようなものか。これはたとえば下のようなものです。
- 借入総額が100万円未満
- 消費者金融同士、あるいは銀行カードローン同士でまとめた
この2つの条件を満たしていると、返済計画再編のためのローンをしても適用金利は下がりません。特に重要なのは「借入総額が100万円を超えているかどうか」です。
消費者金融同士で返済計画を再編しようと、銀行カードローン同士でまとめようと、キャッシング総額が100万円を超えているのであれば、利息制限法によって適用金利が変わるんですね。
消費者金融だったら、100万円までは18.0%が上限金利ですが、100万円以上からは15.0%が法定上限金利となっています。銀行カードローンについてはこのような決まりは特にありませんが、それでも100万円から金利が下がるというのは確かです。(これは、それぞれ銀行カードローンが自主的にやっていることです)
何はともあれそのような「100万円以上の借り入れ」でない時には、返済計画再編のためのローンをしたからと言って、低金利になるとは限らない…ということを意識して下さい。
低金利になっても利子総額が増える?
これはかなり意外でしょうが、実は「返済計画の再編によって低金利になっても、最終的な利子総額が増えた」ということがあります。これは何が原因かというと返済計画の再編によって返済期間が延長されたことに気づかず、そのままゆっくり返済していたということです。
言うまでもなく、ゆっくり返済していると最終的な利子総額はどんどん増えていきます。「じゃあ、何でそんな返済期間の延長があるのか」と思うかも知れませんが、「一つの業者・ブランド・銀行で数百万円など、圧倒的に大きい金額を借りることになったのだから、返済期間が長くなるのは当たり前」なんですね。
それまでは、個別に少額のお金を借りていたわけです。そして、それぞれの業者・ブランド・銀行にとっては「少額」ですから、「短期間で返せるでしょ」という感じで、短めの返済期間が設定されていたわけですね。しかし、返済計画再編のためのローンをした後は、一つのキャッシング業者や銀行カードローンで「高額を借りる」ことになりますから、あちらも「これだけの高額だと、返済期間を長くする必要がありますね」と、長めの期限を設定するわけです。
もちろん、返済計画の再編をするくらいなので、ほとんどの人の利用者は返済に苦しんでいるでしょう。なので、これは利用者にとってもありがたいことなのです。ただ、それにいつまでも甘んじて、ずっとスローペースで返済を続けていると、最終的な利子総額がどんどん膨らんでしまう…ということなんですね。
シミュレーションと任意返済が重要
このような事態を防ぐためには返済計画の再編をする前に自分でよく返済シミュレーションをして、どのくらいの期間で完済すると、最終的な利子総額がいくらになるのか…ということを計算する必要があります。そして、ただ計算するだけではなく、どんどん任意返済・臨時返済をして借入残高を減らしていくということが非常に重要です。
もちろん「そんなことは、言われなくても誰でも知っている」と思うでしょう。その通りです。「わかっていてもできない」のが人間なんですね。そもそも、任意返済・臨時返済をたくさんするためには、下の2通りのことが必要です。
- よく働いて「稼ぐ」
- よく節約して「貯める」
つまり、お金に関するオフェンスとディフェンスですが、このどちらも難しいのです。ほとんどの人は両方できないですし、できても片方だけということが多いので、「積極的に任意返済・臨時返済した方がいい」ということはわかっていても、なかなか現実にはできないわけですね。
(しかし、そこを踏ん張って実戦しましょうということです)
完全な返済計画の再編でなくてもいい
もう一つ、返済計画再編のためのローンに関する誤解として全ての借り入れを、まとめなければいけないというものがあります。しかし「別に返済計画を再編しなくてもいい」んですね。「5件あった借入件数を、3件まで減らす」というだけでも、十分に意味があることです。
借入件数を減らすことのメリット
このように借入件数を減らすだけでも、下のようなメリットがあります。
- 借入状況を把握しやすくなり、返済計画が立てやすくなる
- 返済に必要な手間・手数料が減る
- ストレスが貯まらない
- 個人信用情報での借入状況の評価が高くなる
などなど。特に重要な「返済の手間・手数料が減る」という点について、解説していきましょう。
多重債務の返済の手間・手数料
返済の手数料というのは、ほとんどがATM利用手数料です。特に消費者金融だと、自社ATM以外は、コンビニの提携ATMでも銀行ATMでもすべてATM利用手数料がかかるというのが基本です。例外としては「SMBCモビット・プロミスなら、三井住友銀行ATMを使える」ということがありますが、アコム・アイフル・ノーローンについては、銀行ATMはすべて利用手数料がかかります。
(アコムは、楽天銀行のオンラインの借入・返済だったら、手数料はかかりません)
このように消費者金融のキャッシングだと、返済の手数料が毎回かかるわけですが、その金額は大体毎回200円以上です。1万円以上の借入・返済は200円というシステムがほとんどだからです。
ということは、たとえば5件の多重債務を抱えていて、そのうち4件で手数料がかかっていたら、月間800円の手数料です。それが12ヶ月になると、9600円ということですね。ATM利用手数料だけで、1年間に1万円近くも払うということになってしまうのです。よく考えると、これは恐ろしいことですね。
(ちなみに、多重債務の返済をしている方でなくても、コンビニなどでよく銀行預金を引き出す方は、月4回で、年間1万円近くになるということを意識しておくべきでしょう)
ストレスがなくなると、完済もしやすい
また、低金利にならなかったとしても、返済計画再編のためのローンによって返済計画の再編に成功すると、借入状況がスッキリしてストレスが無くなります。そうすると、自然と仕事の効率も上がり、特に成果報酬で仕事をしている人だと、月収・年収が増えます。
成果報酬の人でなくても、ストレスがなければ職場での人間関係がうまく行きやすいでしょう。そうなると「人間関係でつまずいて仕事をやめる」という、アルバイト・パート・フリーターの方々によくあるパターンがなくなるわけです。仕事をやめるというのは、借金返済で行き詰まる一番多いパターンの一つですが、そのリスクがまた一つ下がるわけですね。
人間関係の改善だけではありません。ストレスがなくなれば病気や怪我にもなりにくいので、体調不良で休んでその分の日給がもらえないということもなくなります。また、これも最悪の事態である「病気になって仕事をやめる」というリスクがなくなります。
借金をしていた方が、どうしようもない借入超過者・多重債務者の状態に転落してしまう一番多い原因として「体を壊して入院する」というものがあります。ただ仕事ができなくなっただけならまだいいのですが、入院してしまうと、治療費・入院費もかさんで、とんでもないことになるわけですね。このパターンで、ごく普通だった人が完全な破産状態に陥る…というのはままあるケースです。
そのようなことがなくなるという点でも、(完全になくなるわけではありませんが、少なくなるという点でも)たとえ低金利にならなくても、返済計画の再編はするべきだといえます。
過払い金の有無を先に調べる
ここまでは返済計画の再編のメリットについて書いてきましたが、当然返済計画の再編にはデメリット・注意点もあります。最大の注意点として「過払い金が発生していないかどうか、先に調べてから返済計画を再編する」という点があります。これについて詳しく説明しましょう。
過払い金の返還請求ができなくなる?
実は、過払い金がある状態で返済計画再編のためのローンを利用すると、過払い金の返還請求がもうできなくなります。この理由を箇条書きすると下のようになります。
- 返済計画の再編をするということは、当然「不要な貸金業者」が出る
- それらの貸金業者は、全額返済するだけではなく、「解約」もしないといけない
- 解約したということは、法律的には「それまでのやり取りに、問題はなかった」と認めたのと同じ
- つまり、過払い金も消滅する
ということです。もし過払い金のような問題がまだ残っているなら「契約を続けたまま、話し合いや裁判をする」必要がありますからね。
そして、「なぜ解約しなければいけないのか」という点ですが、これは契約を残している限り、その人はいつまたそのキャッシング業者で借り入れするかわからないという不安があるからです。これはたとえば「自分が友達の借金を肩代わりした」と想像すると、非常によくわかります。
友達が「もう借金はしないから、今度だけ立て替えて」と言ったとしましょう。にも関わらず「なぜか、アコムの契約をまだ残している」…となったら、誰も信用しないですよね。「アコムの返済終わったなら、早く解約しろよ」と迫るはずです。
返済計画再編のためのローンもこれと同じで、返済計画の再編をしたら、それまでの貸金業者や銀行カードローンなどはすべて解約しなければいけないわけですね。そして、解約すると上に書いた通りの理由で「過払い金の返還請求ができなくなる」ということです。
2010年以前の借り入れは、過払い金がある?
過払い金がいつから生じているかですが、これは借入先によって違います。簡単に書くと、下のようになります。
- プロミス・アコムなどの大手…2006年か2007年より前
- 中小の消費者金融…2010年より前
となります。何でこのように時期が違うのかというと、大手の消費者金融は、貸金業法が改正されてすぐにグレーゾーン金利を撤廃したからです。過払い金というのは「グレーゾーン金利で借りていた時期のみ発生する者」なので、早めにグレーゾーン金利を撤廃した大手の消費者金融については、このようにかなり昔の借り入れしか、過払い金が発生しないようになっているのです。
一方、中小の消費者金融はすぐにグレーゾーン金利を撤廃することができなかったので、改正貸金業法が施行される2010年までグレーゾーン金利を続けていました。そのため中小業者で借りていた場合は、このように過払い金が生じていた(可能性がある)時期が長くなります。
なので「特に自分が中小の消費者金融で借りていた場合には、過払い金が発生している可能性が高い」と考えて下さい。この辺の詳しいことは、過払い金の返還請求を積極的に扱っている弁護士・司法書士などの事務所に問い合わせていただくのがいいでしょう。
過払い金はどのくらい還元されるのか?
これは当然、その人の借入総額など諸条件によって変わります。ただ、あくまで目安を書くと、グレーゾーン金利というのは「29.2%」でした。そして、これを「18.0%」に換算して、差額の「11.2%」の分の利息を、利用者に返せ…というのが過払い金の返還請求です。
たとえば「10万円を1ヶ月借りていた」とすると、10万円の「11.2%」、つまり「1万1200円」が、1年間で余分に払った利息ということになります。わかりやすく1万2000円とすると10万円を借りて、1年間に1万2000円、余分な利息を払っていたということになります。
ということは、たとえば「100万円」借りていたのであれば、1年間で「12万円」の過払い金が生じているわけです。それが「3年間」だったら「36万円」ということです。
もちろん、これは「かなり過払い金が多いケース」です。100万円という高額ですし、しかも3年間です。普通は3年間のうちに100万円の借入総額も徐々に減っているので、実際にはもっと少なくなるでしょう。
ただ、何にしても数万円から10万円程度、昔からキャッシングをしている人であれば、還元される可能性があります。そのため、そのように古くから借り入れを知っている方は、まず一度自分の過払い金の有無を確かめてから、返済計画再編のためのローンの審査に申し込むようにして下さい。
返済計画再編のためのローンと返済計画の再編の注意点・まとめ
以上、返済計画の再編をすれば返済計画再編のためのローンとは限らない…という点について説明してきました。最後にポイントを整理すると、下のようになります。
- 返済計画の再編をしても、低金利にならないことがある
- 低金利にならなくても、返済計画の再編のメリットはある
- ただ、返済期間が延長されると、最終的な利子総額が増えるので注意
- 完全に返済計画を再編しなくても、借入件数を減らすだけでもメリットがある
という内容でした。現時点で複数ローンを抱えていて、それらを返済計画を再編したいと思っている方などは、ぜひ参考にしてみてください。
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